風よ伝えて(爺さんのブラジル移住)第205段

40日間、日本滞在(その13)

 居酒屋

 高浜市の居酒屋で元同僚の嶋君と待ち合わせをした。

 伯も同席した。

 嶋君は、私が45歳で転職し、プラスツチック成形の会社に勤務するようになった時に、すでに、その会社に在籍していた。

 伯も、初めに日本に来た時からの顔見知りである。

 歳は、私より10歳以上若い。

 沖縄出身で、酒が強い。

 私が、嶋君の勤める会社に転職し、会社の25周年記念などの席で嶋君を見て、「飲みっぷりのいい奴だ。」と思った。

 そのとおり会社内では、いちばん酒が強いらしい。

 「でも、俺には勝てまい。」

 そう思い、後日嶋君を誘い、2人で飲むことを約束し、後日スナックに2人で飲みに行った。

 話しがうまく、楽しい酒の席であった。

 どんどん飲むうちに、嶋君の話す言葉が「ふにゃら・・・ふにゃら」となり、お開きにした。

 「なんてことない。俺の方が、強いぜ。」と、馬鹿なことをやっていた仲である。

 しかし、それは、25年くらい前のことで、酒は、お互いそれなりに弱くなっている。

 今回は、ゆっくり、ゆっくり、お互いにお酌をしながらの酒であった。

 伯も一緒に働いた頃の事を、3人で話した。

 一緒に仕事をした日系人の名前が、沢山出てきて、忘れていた事を思い出すこともあった。

 嶋君は、もうすぐ定年になる。

 定年後の事をいろいろと考えていることを話してくれた。

 また、勤務している工場が閉鎖され、他の市に生産が移される事を話していた。

 その工場には、伯と同じ頃に日本に来た日系人が数人、今も正社員として働いている。

 「工場移転となると、彼らの働く場所が無くなってしまう。」

 と言っていた。

 労働基準法で、守られるであろうが、彼らが、他の市に通勤するには、通勤方法、住居などの問題が残る。

 彼らの中には、ブラジルに帰らずに、日本に永住し、永住のための子供教育をしている日系人もいる。

 嶋君は、インジェクション成形のプロで、素晴らしい技量を持っている。

 それを、日系人に教え、中には工場内ではトップの技量を持つようになった日系人もいる。

 工場移転で、彼らの仕事が切れないように、他の会社などを斡旋しなくては・・・。

 と、考えている。

 自分自身の定年、可愛い部下達の仕事と、考えなくてはならないことが沢山。

 頑張れ、嶋君!

 久々にゆったりと一緒に飲めて、旨い酒でした。

       旨酒に 想い出語り 懐かしむ

             もう定年か 時は早鐘

0コメント

  • 1000 / 1000