風よ伝えて(爺さんのブラジル移住)第201段

40日間、日本滞在(その9)

 海

 日本に滞在して、アパート、車、携帯電話を用意し、社会保険事務所へ行ったり、入国管理局へ行ったり、友達に挨拶したりしていたら、もう1週間も過ぎてしまった。

 知多半島

 知多半島を一周する。

 知多高速道路は使わずに、東浦から、半田市、常滑市を通る一般道を選んだ。

 街中の様子を、見たいと思ったからである。

ドライブの途中で、「あの頃」伯と廻った「知多四国お遍路」の幟が、道中に見ることが出来た。      

伯と車で「知多お遍路」の寺を廻った時のことを、懐かしく話しながら、美浜町の「野間灯台」に着いた。

 ここで、車を駐車場に止めて、海岸に下りる予定であった。

 ところが、8月が終わろうとしているのに、海水浴が来るのか、駐車料金は1,000円であった。

 「あの頃」来た時は、海水浴シーズンでなかったので、駐車料金は無料であったのだが・・・。

 駐車場の監視員もいなかったし、何も管理されてはいなかった。

 1,000円は高いので、駐車することを諦め、何処か無料で駐車できる場所があるところまで、運転しようと決めた。

 海岸沿いの通りには、「1,000円」、「1,000円」の文字が連なっていた。

 なかなか止めるところがない。

 5キロくらい走ったところに、寺があり、寺の駐車場には、「1,000円」の立て看板はなかった。

 ここは、「知多お遍路」の41番札所の「西方寺」である。

 山門の横の駐車場に車を止め、そのお礼に、ささやかな御賽銭を賽銭箱に投げ、お参りさせていただいた。

 「山海海岸」である。

 堤防の階段を下り、砂浜に下りると、50メートルほど離れたところで、沢山の子供たちが、ワイワイ言いながら「地引網」を引いていた。

 寄ってみると、「鯛」や「蟹」が網の中に沢山入っていた。

 他にも、幾種類かの魚が入っていたが、名前は知らない。

 網を引き終え、子供たちは、魚を手掴みし、大きなバケツの中に入れていた。

 何処から来たか、聞いてみたら、名古屋から来ていた。

 夏休みの終りの、子供会の旅行であった。

 夏の終りの静かな海が、子供達の歓声で賑やかさを取り戻していた。

 2人で、砂浜を少し歩いた。

 海を見るのは1年半ぶりであった。

 美しい海の色。

 波は、キラキラと太陽を輝かせ、伯と私が来たことを喜び、歓迎しているようであった。

 服のままでも、泳いでみたいと思った。

 もう、夏も終わり、泳ぐには、少し寒い。

 靴を脱ぎ、靴下を脱ぎ、ジーパンを巻くしあげた。

 海に入る。

 冷たい海水が波打ち、引き潮で、足を取られそうになる。

 ジーパンの裾が濡れ出した。

 伯も、一緒に海に入ってきた。

 寄せては返す、波が足裏をくすぐる。

 止まっていると、足が砂に埋まっていく。

 何年ぶりかの海の感触は、心地よく、幼い日の海と同じであった。

 海から上がり、また、海岸通りをドライブした。

 「師崎海岸」まで来た。

 「あの頃」食べた「煮魚」が恋しい。

 それは、海岸通りから細道に入ったところにある、こじんまりとした食堂で、漁師が開いている。

 ここの「煮魚」の味が忘れられなかった。

 食堂に入り、伯と向かい合わせに座った。

 メニューを見ると、四種類のコースが書かれてあった。

 ええい、この際、少し弾んでしまえ!

 1番高いコースを注文した。

 早く来い来い「煮魚野郎」。

 「さしみ」、「焼アサリ」などが出てきた。

 久しぶりの日本料理を、ゆっくりと味わいながら、食べていると、「焼魚」が出てきた、そして、「蟹」が出てきた。

 えっ?

 「煮魚」は?

 メニューを見た。

 「煮魚」がない!

 そこにあるのは、「焼魚」。

 何と、このコースには、「煮魚」がなく、「蟹」が付いていたのであった。

 「あの頃」食べたコースにしておけば、よかった・・・。

 しかし、日本に来て、初めての日本料理は、やはり美味しかった。

 食事が終わり、再び、ドライブ。

 今度は、三河湾を見ながらの海岸通りである。

 5キロくらい走ると、「ナチュラル村」があったのに、閉店してしまっていた。

 この店で、おふくろの「蜂蜜」を買ったり、店の奥の丘に登って、三河湾を見渡したのだったが、それをすることは出来なかった。

 優しさを感じることが出来る、自然食品の店であったのに・・・。

 知多半島の海は、懐かし。

 伯と見た海・・・。

 幼馴染と篠島へ・・・。

 篠島は、若かりし日のマドンナと・・・。 

       ひさびさの 日本料理 注文す

           煮魚食べたし 煮魚がない!

網を引く子供達。

久しぶりの日本料理。

焼魚と蟹は、もう食べてしまっている。

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