風よ伝えて(爺さんのブラジル移住)第200段

40日間、日本滞在(その8)

 絆

 この日本滞在で、思いがけなかった出来事があった。

 まず、このことを書いておこう。

 伯と2人で日本のご家庭に訪問したのである。

 伯と一緒に日本の家庭に訪問することは、初めてのことであった。

 私自身、日本の礼儀作法など知らない。

 ましてや、伯が礼儀作法を心得ているわけがない。

 しかし、暖かいお誘いを、むげにお断りしたくはなかった。

 ご家庭に招いていただいたのは、3組のご夫婦であった。

 それぞれのご夫婦とは、御夫婦のこと、御子息の事、お孫さんの事などを話され、それぞれのご夫婦の考え方が、しっかりし、御夫婦そして、御家族との絆が強いことが、会話のあちらこちらに覗うことが出来た。

 詳細は、個人の生活のことであるから、具体的に書くことは、避けます。

 1組のご夫婦は、御夫婦のライフスタイルから、奥さまは、賑やかな隣の街に生活の拠点を構えてみえる。

 ご主人は、ゆったりとした、静かな街で生活されている。

 そして、時折り隣町の奥さんの住む家に足を運ばれる。

 私が、彼に電話を入れた時など、電話の後で子供さんの元気な声が聞こえていた。

 きっと、奥さんの家にいて、お孫さんの声が電話の向こうの方で聞こえたと思う。

 彼は、海外旅行を好んでしているようで、奥さんとも、良く海外に出かけているとのことであった。

 お互いのライフスタイルを尊重し、暮らしてみえた。

 もう1組のご夫婦は、美術関係の趣味を共有され、部屋と玄関に、御夫婦の作品が飾られていた。

 お話されるに、ゆったりと、朗らかに話され、ご家庭の常日頃のご夫婦の会話が、覗い取れた。

 

 そして、あと1組のご夫婦であるが、小学校の頃に、「おまえを、俺の嫁さんにする。」といって、本当に嫁さんにしてしまった夫婦で、もう、「金婚式」を通過している。

 屈託のない、少年のような話しぶりの旦那、そして、優しく、おっとりとした奥さん。

 このご夫婦は、私と同年である。

 伯は、この3組のご夫婦と気さくに会話し、私の気苦労なんぞは、いらなかった。

 ブラジルに帰り、御夫婦との想い出話をすると、「また、会いに行きたい。」と言っている。

 伯と私は、まだ2年足らずの夫婦で、この3夫婦のような永い歴史を作ることはできない。

 しかし、御夫婦との会話で、「夫婦の絆」たるものが「思いやり」の一言に尽きる気がした。

 あのゆったりとし、楽しく、笑いながらの会話。

 伯も私も、忘れることはない。

 この旅行で、思いもよらない出来事、心に残る、忘れることができない想い出になった。

       ご夫婦の 会話の中で 飛び出すは

               我に教えん 夫婦の絆

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