風よ伝えて(爺さんのブラジル移住)第192段

帰郷は終わった

 人生は、想い出作りである。

 そう、思う。

 

 心の中の碧く澄んだ広い深い湖に、1枚の「想い出カルタ」の入った「玉手箱」が浮かんでいる。

 数えきれないほどの「玉手箱」は、ゆらゆらと湖水に揺れてゆっくりと湖水を廻る。

 一双の白い羽根を背中に付けた「エンジェル」が、微笑みかけ、「玉手箱」をあけ、湖水で遊ぶ。

 懐かしいこと、忘れられぬ想い出が甦る。

 私の人生。

 この広い湖を囲む高くそびえ乾いた砂丘から、さらさらとしたベージュ色の砂達が、途切れることなく、我先にと滑り落ち、湖に届き、湖底に溜まっていく。

 人生の「砂時計」。

 私の歴史。

 40日間のパーティーは終わった。

 沢山の知人と会うことができ、沢山の想い出ができた。

 忘れてはいない昔話、私のブラジルでの生活、そして、お互いに元気でいようと話すことが出来た。

 懐かしい里山の風景。

 里山は、少しも変わっていなかった。

 伯と歩いた川縁の道は、「また、私たちが来てくれた」と、歓迎してくれていたはずだ。

 小川のせせらぎが、そう言っていた。

 心和む音であった。

 

       人生は 想い出作り 玉手箱

          懐かしきこと エンジェル遊ぶ

0コメント

  • 1000 / 1000