風よ伝えて(爺さんのブラジル移住)第191段

故郷よ

 あと2日で日本行きのフライトである。

 

 ブラジルに来て、1年4ヶ月。

 だんだんとブラジルの様子が判ってきている。

 日系の方達とのお付き合いの中で、日系の方達が苦労をされ、築き上げたブラジルでの文化は、日本を思い出させてくれるに充分である。

 私と同じ年代の日系の方達は、日本語を上手に話され、交流を深めることができつつある。

 また、日本にはないブラジルの人の生き方の中で、それを容認され、生活されているようである。

 と言うより、もう、日本人でなく、ブラジル人になられている。

 「郷に入らずんば・・・。」

 私も、そのように思えるように、心構えをしようと思う。

 まだまだ、「日ブラ人」である。

 その「日ブラ人」が、日本に行く。

 お世話になった人達、友達、兄、妹。

私の若き日のマドンナ。

 伯と過ごした、街中の風景。

 沢山の、懐かしい思い出が浮かび、巡り、消える。

今、ここで「おおい・・・。」と呼びかけると、「おおい・・・。」と日本から元気な声が帰ってくる。

 心はもう、故郷日本に・・・。

 

 もう、荷物は整理された。

 この文章を最後に、このコンピューターを荷の仲間に加えよう。

 

 美しい国、想い出の溢れる国、日本。

 出発しよう、伯と共に。

 翼を広げ、風に乗り、海原超えて、大陸超えて、大空を・・・。

 故郷よ・・・。

        故郷を 思う心に 映りくる  

           想い出の道 懐かしき人 

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