風よ伝えて(爺さんのブラジル移住)第177段
1人で外出
外出の時は、何時も伯が一緒であった。
今日、初めて1人で外出をした。
1年2ヶ月もブラジルにいて、今、初めて1人で外出をするのは、遅すぎたと思う。
ポルトガル語を全く話せないので、このようになってしまった。
朝、10時、マチダ家を出発して、バスに乗る。
乗る前に、スリに会わないように、リュックサックのファスナーは閉めてあるか。
身分証明書、バス、地下鉄の乗車カードをもっているか、確認した。
いつもサンパウロに行くように、アルメニア行きのバスを待った。
バスに乗り、無料のカードを読取機に当てて、緑のランプが付き、バスの座席に行き、座ることが出来た。
1年ほど前に、1人で初めて買物をした時のような、心臓の「ドキドキ」はなかった。
結構、落ち着くことが出来た。
何も問題なく、アルメニアに着いた。
次は、地下鉄であった。
地下鉄も、入り口を問題なく通り、車中へ・・・。
そして、アルメニアから、ルースまで行った。
車内放送は、いつものポルトガル語だけであったのが、ポルトガル語の案内の後で、英語で次の駅の案内をしていた。
ワールドカップが開催されているから、英語での社内案内がされていると思った。
きっと、そうである。
車内放送が、英語でされているとわかるほど、英語も話せない私は、落ち着いていたのであった。
ルースの駅に着き、乗り継ぎのために、地下鉄の構内を歩いた。
前に来た時より、人がたくさん構内を行き来していた。
白と水色のユニフォームを着た、アルゼンチンのサポーターが沢山、人混みの中に混じっていた。
突然、私の歩く後で、手拍子と歌声が聞こえた。
振り向くと、10メートルくらい後ろで、アルゼンチンの若い男女の30人ほどのサポーターが、景気良く歌い始めたのであった。
歩きながら、朗らかに大声で・・・。
今日、アルゼンチン軍団は、サンパウロの会場でスイス戦を控えていたのであった。
地下鉄を乗り継いで、ルースからヘプブリカへ一区間である。
乗り継ぎは、サンパウロの地下鉄では、路線が色分けされていて、自分の乗り継ぐ路線の色分けされた案内表示を見ながら、移動すれば良い。
行き先の路線の名前を読まなくても、大丈夫で、迷子になりにくい。
アルメニアからの路線は、青の表示であり、ルースで乗り継いで、今から乗る路線は、黄色で表示されている。
私、爺さんも迷子にならずに、乗り継ぎが出き、ヘプブリカに到着した。
伯は、朝、はやく、美容師養成学校に登校していたので、私は、1人でヘプブリカまで来たのであった。
前回は、伯と一緒にヘプブリカに来て、伯が実習をしている3時間をなんや、かんやして、伯の実習が終わるのを待ったが、今日は、伯の後を追っかける形になった。
ヘプブリカに11時30分前に到着してしまった。
伯の実習は、12時まで続いている。
ゆっくりと、歩き、美容師養成学校に向かった。
先日行ったルースの街には、ワールドカップのためのブラジルの国旗が、街中のあちこちではためいていたが、ヘプブリカの街中には、ワールドカップのための国旗は、全くと言っていいほど飾られてはいなかった。
先回来た時と同じ街の中の様子であった。
太陽は、ビルの谷間の大きな街路樹を照らし、歩道に映った街路樹の葉の影を、風がゆらゆらと揺らしていた。
車道に建てられた、温度表示は、19℃であった。
熱くなく、寒くもない。
風は、頬を少しだけ、冷たく感じさせ、撫ででいった。
サンパウロの冬である。
まさに、「冬日和」であった。
学校に着き、私は、案内係に「ボン ジア」と挨拶し、人差し指で休憩所のある方を指差した。
案内係は、親指を立て、「オッケイ」をした。
先回は、伯に書いてもらったポルトガル語を読んで貰い、待たせてもらったが、もう、今日は、お互い顔見知りで、言葉なしで、要件を伝えることが出来た。
伯の実習が終わり、すき家に行った。
今回は、ブラジルのカレーを食べてみたいと思っていたが、カレーがメニューから外されていた。
また、牛丼を注文した。
かきいれどきの時間であったが、客は、数人だけであった。
先回来た時は、従業員が6、7人いたのが、2人だけになっていた。
ミユキの話では、リベルダージの近くにもすき家があったが、閉店してしまっているとのことであった。
でも、この店は頑張って、閉店しないようにして欲しい。
リベルダージに向かい、リベルダージで日本の料理の材料を買いそろえた。
買い揃えたというのは、サントアンドレの七夕祭りの露店で売る、寿司弁当等の海苔や他の具材を買い揃えたのである。
日本料理の具材は、マチダ家の近くには無く、リベルダージまで行って1店舗で揃えた方が、都合がよい。
そして、帰路についた。
初めて1人でバスに乗り、地下鉄に乗り継ぎ、サンパウロの街に出かけた。
もう、1人でも大丈夫である。
アルメニアまでバスで行き、地下鉄に乗り継げば、サンパウロの何処でも行けると、爺さんは思った。
見えてくる バスの表示は アルメニア
手を挙げとめて 1人で乗り込む
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