風よ伝えて(爺さんのブラジル移住)第156段
美容師養成学校に行き始める
4月15日、伯の美容師養成学校への登校の初日であった。
まだ、明け切らない雨の中を、学校で使う道具を入れた大きなバッグを持ち、伯は1人で登校していった。
サンパウロのバスには、時刻表がない。
あったとしても、道路の混み具合で、正確な時刻に、各停留所に到着することは困難と思われる。
順調に運行出来たなら、ヘプブリカにある学校まで1時間半くらいで行くことができる。
道路の混雑状況で、バスに乗っている時間がどのくらいの時間かが判らずに、早めに登校していった。
地下鉄は、アルメニアから4つ目の駅のセで乗り継ぎ、そこから2つ目のヘプブリカで降りて行くのが普通と思っていたら、角田君が、もっと短時間で行ける乗り継ぎ方がある事をメールで教えてくれた。
アルメニアから2つ目の駅のルースで乗り継ぐと、乗り継いで一1つ目の駅がヘプブリカであった。
通学時間を短縮することができた。
また、角田君の住む町の駅は、この路線で行くことが出来るようだ。
いよいよ始まった。
伯は、今からの1年と数ヶ月の間、週に3日通学することになる。
伯の事だから、頑張ると思う。
伯は、日本で仕事をしていた頃に、3年間、月曜日から金曜日まで、高浜市から名古屋まで通学していた。
「モード学園」の夜学部であった。
会社の計らいで、朝8時の始業を6時半からにしてもらい、16時半に仕事を切り上げ、それからの通学であった。
1日も休ますに通学したが、4年目にブラジルの家族からの連絡で、ブラジルに帰ることになり、卒業をすることはできなかった。
それでも、良く頑張った。
そんな経験があるから、きっと、こんどは、卒業出来ると思っている。
もう、戻ることはない。
美容院開業を目指し、頑張れ!
伯がいない間、私はみそ汁とすき焼き風に肉と野菜を煮込んだ。
醤油、みりん、料理酒を使って作った。
我ながら、うまく出来た。
少しくらい手伝ってやらなくては・・・。
昼過ぎ2時少し前、伯は帰ってきた。
疲れたという雰囲気はなかった。
2人して、遅い昼飯を食べた。
私の作った、鍋を文句も言わずに食べてくれた。
文句を言うはずがない。
「うまいものは、うまいのである。」
食べながら、学校での出来事を話してくれた。
技術は、カーリングを勉強したようであった。
先生達と生徒達との話で、先生のそれぞれの性格とか、生徒の中のAさん、Bさん、それぞれの話。
私はそれを聞いてやるしかできない。
ただ1つ。
「美容室を開業すると、色々な客が来るが、それぞれに対応する力をつけなくては・・・。」とアドバイスをした。
伯は、承知していると思う。
技術との二本立てでなければいけない。
私の伯への手伝いは、伯の気持を陰で支えることであると思っている。
朝の雨 大きな袋に 道具詰め
伯の心は 希望に満ちたり
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