風よ伝えて(爺さんのブラジル移住)第141段

出陣前日

 3月14日、金曜日。

 朝9時から、伯と2人で、鯛焼を焼いた。

 目標は、鯛焼とミニパンダ焼きを合わせて450個作ることであった。

 カスタードクリーム、あんこ、ココナッツの3種類を作った。

 幾度かの試作では、チョコレートを具にして作ったが、熱のためチョクレートがとろけ、歩留まりが悪く、急遽、ブラジルの人がよく食べるココをカスタードクリームに混ぜてココ味として作った。

何度も生地を作り、そして、焼いた。

 試作で何度も焼いてきたので、どんどん焼くことが出来た。

 昼飯は、カップラーメンだけで済ませ、またすぐに焼いた。

 歩留まりも良く、快調な作業であった。

 ルンルン気分とは、このことか。

 用意をした金属製のトレイに鯛焼、ミニパンダ焼きが埋まっていった。

 午後4時半を過ぎていた。

 目標の数を焼くことが出来た。

 左足のふくらはぎ、右手の人指しゆびに痙攣がきそうになったが、よいしょの掛け声で、気合いを入れながら、頑張り通した。

 伯には、痙攣が起きかけていることを悟られないように・・・。

 頑張れば、まだまだやれる。

 歳なんて言ってはならない。

 椅子に腰をかけ、2人でブラックコーヒーを飲んだ。

 こうして、2人で協力して生きていく。

 それが、ブラシルに来た目的である。

 これでよい。

 ミユキの登場である。

 焼き上がった鯛焼、ミニパンダ焼きを小さなビニール袋に1個1個袋詰め。

 そして、カスタードクリーム、あんこ、コナッツであることが判るように色別のテープで、ビニール袋をとめた。

 伯が作った、鯛、そしてパンダの絵が描かれた飾りと、値段表。

 「日本から、持って来ました、鯛焼、パンダ焼きです。」というコメントを書いたプラカードなどを用意した。

 明日の「第24回 BAZAR BENEFICENTE」への出店への準備は整った。

 ブラジルでの鯛焼の初めての出店の準備であった。

 『売れるだろうか。』

 9時、床に入った。

 寝つかれない。

 今日は金曜日。

 ピンガはない。

 寝つかれない。

 ブラジルに来て10ヶ月。

 今から始まる。

 道しるべ、何もない。

 

 日本から やって来ました 鯛焼きが

           バザールよろしく 泳ぎまくるぞ

※ ネネは、この2月から幼稚園に通っている。

ジンタ、ミユキ、ネネは、金曜日のネネの幼稚園での学習が終わってからでないと、マチダ家には、来ることができなくなっている。

そして、日曜日の夕方には、ジンタの家に帰るという生活である。

だから、ミユキは、金曜日の午後からでないと一緒に生産することが出来なくなっている。

ネネよ、学校で友達を沢山作れ!

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