風よ伝えて(爺さんのブラジル移住)第112段

早出、残業

 マチダ家の前を通る片側2車線の道路は、この街では1番の交通量の多い通りである。

 1日中、渋滞が続いている。

 時折、渋滞でイライラした運転手が、クラクションを続けざまに鳴らすことがある。

 この音は、結構煩く感じる。

 この道路の先は、高速道路の入口になっている。

 マチダ家は、この道路沿いに、ブロック塀を作っている。

 そのブロック塀を挟んで、道路に1番近い処に、アセロラの樹が植えられている。

 そのアセロラが、煩いクラクションの音に負けずに、赤い果実をどんどんと付け始めている。

 煩い中、「負けるなアセロラ!」と、声をかけたい。

 伯が最後に日本に来て、日本で生活をしている時にミユキが植えたものである。

 高さが3メートル、横幅が5メートルくらいの樹になっている。

 白い五弁の花びらをした小さな可愛い花が咲き、2センチくらいの少しでこぼこした赤い果実に成長している。

 ビタミンCが豊富であり、甘酸っぱい味がする。

 鳥達がかじっている。

 桑の実は、小さいので鳥達は1口で1個の実を全部啄んでしまうが、アセロラは直径2センチくらいの大きさであるから、実の一部を1口かじって、あとは残している。

 贅沢な食べ方である。

 鳥達がかじっていない物を見つけ、籠につんで少しずつ食べている。

 ビタミンやミネラルは、1日に沢山採る必要はないと聞く。

 1日少しづつ毎日とるのが良いようである。

 さて、草取りであるが、この10日ほどは、太陽が元気に顔を出している。

 土はかたくなって、力を入れなくては鎌で土を掘り起こすことができないでいる。

 そんな土の状態のところがあるが、庭の他の場所では、まだ水が残り、べとべとのところがある。

 含んだ水が何時までも滞留しているのか、土地が低いため、地下水の道になっているのかわらない。

 ともあれ、こちらは鎌が使えるので、こちらを先行させて草取りをしている

 夏草は、どんどん伸びて来ている。

 焦っている訳ではないが、この頃は、朝6時半頃から草取りを始めている。

 そして、夕方は7時まで続けている。

 途中で、4時間ほどの休憩を取っている。

 日中は、草取りをするには暑すぎる。

 まさしく、早出、残業になっている。

 もう、庭の広さの半分は掘起し作戦が完了している。

 しかし、掘起し作戦が終わったところには、草取り追試作戦が待っている。

 なかなかうまく漸近線になってくれていない。

 地中にまだ球根が残っているもの、種がこぼれ、新芽が1ヶ所に団体さんで顔を出してくる。

 そして、成長が早い。

 12月は、大雨が降り、庭が池になると聞いていたが、今年は、それがないようである。

 どのように庭に水が溜まるのかを見て、庭作りをしようと思っているが、まだ先の事になっている。

 それまで、早出、残業であろうとも、草取りだけに専念しよう。

 マナカのように、知識のないのに何処かし子と植えて、枯らしてしまわないように、むやみに庭木を植えたりはしないでおこう。

 もう少しで、新年。

 来年も、頑張ろう!

       伸びてくる 夏草どもの 憎らしさ

              そうは思えど 早出残業

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