風よ伝えて(爺さんのブラジル移住)第97段

心にしまっておこう


 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 」

 何も書くことができない。

 何も書かないでおこう。

 心に、大切にしまっておこう。

 大きな、戸惑いを感じた。

 大きな、嬉しさが込み上げてきた。

 そして、涙があふれてきた。

 伯も、喜んでくれた。

 

 10月27日、朝、起きると、1通のメールが届いていた。

 「??????????!!!!」

 頭が真っ白になった。

 そして、この1週間は、戸惑いと嬉しさの中で過ごした。

 涙があふれた。

 私にとって、忘れることができない1週間となった。

 誰に、何も言わなくてよい。

 心の奥に、大切にしまっておこう。

 ベランダに腰をかけ、子猫のハルを膝にのせ、暗い空を見上げた。

 勢いよく上昇していく、黒い影の飛行機を見送った。

 白い灯を天空に映し、風の音を残しつつ、夜空の雲間に消えて行った。

 また、涙であった。

 「あんた、何時までも浪花節をしてんじゃねーよ。」 

 「すんません、どうしても涙が出ちゃうんです。」

 

 11月1日、午後9時55分、クンビッカ空港発、デトロイト行き、デルタ48便。


        大空を 去りゆく君に 話かけ

           またいつの日か 会えるを祈る

 

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