風よ伝えて(爺さんのブラジル移住)第92段

庭の動物達(その2)


 「マチダ家の庭の良い子、悪い子、普通の子」

 良い子ばかりなら、有難いのだが、思うようには、なかなかいかないものだ。

 

 マチダ家の庭にお出ましになったのである。

 お母さんが、もう出てくる頃だと言ってみえたとおりに、現れたのである。

 この動物は、農業や牧場を経営するといわれている。

 働き者で、賢そうである。

 小さな体で、重そうな物を、列を作って、彼らの巣まで運ぶ。

 「ありんこ」なんです。

 それも、日本ではお目にかかったことのない、「ハキリアリ」である。

 ブラジルの農業は、ハキリアリとの戦いと言われていると聞いた。

 また、たくさんの種類のハキリアリがいるとも聞く。

 巣の中に、切り刻んだ葉を運び込み、それをまた小さく切り刻み、「キノコ」の栽培の、肥料にする。

 また、「アブラムシ」を飼い、牧場も経営している。

 薔薇の葉を、綺麗に切り取られてしまったのである。

 花は残っているが、1枚の葉も残っていない。

 薔薇が、恥ずかしそうにしている。

 1列に並べて植えかえた薔薇の、隅から四本の薔薇である。

 4本とも、丸裸にされてしまった。

 また、「カランコエ」は、ブロックの塀の上に、鉢植えにしてあったが、これも葉を切られてしまった。

 こちらは、花まで切り刻まれてしまっていた。

 

 マチダ家に現れたハキリアリは、濃い赤茶色をしていて、5ミリくらいの大きさである。

 列を作って、一生懸命に運んでいる。

 美しい労働の姿である。

 しかし、庭に被害がなければの話である。

 ハキリアリを退治する毒薬を、お母さんに教えて頂き、購入した。

 太さ1ミリ、長さ5ミリくらいの黒い色をした円柱形の毒薬である。

 アリが通る道に置く。

 なるべく、アリの巣に近いところである。

 犬が駆けまわっていて、犬に被害が出ないように、網状の入れ物を毒薬にかぶせ、重しをのせた。

 犬に被害が及ぶかどうかは、知らないが、念のためにである。

 すると、アリが、その毒薬を、アリの巣まで運ぶ。

 そして、食べてしまう。

 絶滅である。

 毒薬を置いた翌日には、ハキリアリの行列は無くなっていた。

 白アリといい、アリという動物は、人間の生活には、プラスになることをしないのか?

 働き者で、関心な動物と思う。

そうではあるが、マチダ家の庭には、薔薇がたくさんある。

薔薇の葉を切るのであれば、かわいそうであるが、駆除をさせてもらった。

「悪い子」である。

薔薇の葉ではなく、今、私が一生懸命になって取っている、雑草をどんどん切って欲しいと思うのであるが、だめかなあ・・・。

なんなら、根こそぎ切って欲しいと思う。

そうなれば、「良い子」になれるのに。

今から、夏に向かい、マチダ家の庭に、どんな動物が現れるであろうか?

良い子ばかりであってほしいと思う。


    列作り 運ぶは薔薇の葉 ハキリアリ

             雑草切って 運んでくれよ

葉を切って運ぶハキリアリ。

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