風よ伝えて(爺さんのブラジル移住)第91段

庭の動物達(その1)

 ブラジルは、今から、暑くなっていく。

 庭の動物達は、だんだん種類が多くなっていくようだ。

 ごそごそ、動きはじめているようだ。

 今、庭で見かける動物たちを、紹介してみよう。

 先ずは、年中、庭にいる2匹である。

 1匹は、5か月前に日本から来た、爺さんである。

 雨が降らなければ、朝7時には庭にお出ましになる。

 服装は、ブラジルのお父さんに貰ったワイシャツを着ている。

 ボロボロでもない。

 ジーパン姿で、麦わらぼうしを冠り、手袋をし、長靴を履き、蚊取り線香の入った缶を腰にぶら下げている。 

 手袋以外は、全て日本から船便でブラジルに送ったものである。

 魚釣りの時などに使う折りたたみ式の小さな椅子を2つ、日本からっ持ってきた。

草とりの時に使っていたが、2つとも、ひしゃけて(つぶれて)使えなくなってしまった。

 体重オーバーだったのだ。

 今は、日本で、おふくろが風呂に入る時に使っていた足場用の台に座りながら、草とりをしている。

 介護用品の1つである。

 これも、日本から送ったものである。

 この台に座り、鎌を持って、頑張っている爺さんの姿を想像してやって下さい。

 もう1匹の庭の常連さんは、飼い犬の「サニー」である。

 ブラジルに来て五ヶ月も過ぎ、ようやく犬の名前も、間違えずに言うことができるようになっている。

 犬達は、庭を駆けずりまわったり、お互いにじゃれ合っている。

 サニーも他の犬達とじゃれ合っているが、他の犬と違う行動をする。

 人と一緒に遊びたがるのである。

 雑種なのだが、シェパードの血が入っていることが、見ただけで判る。

 シェパードより、少し小柄である。

 シェパードは、人と馴染むのがうまいのか、サニーはそうである。

 七月頃だったと思うが、私の横に座って、草とりを見ていた。

 しばらくしてから、私の頬を舌で舐めようとしたことがあった。

 「やめてくれ!   お付き合いは、友達からにしようや!」

 私は、肘でサニーの顔をこついた。

 サニーは、びっくりして逃げて行った。

 その後は、あまり来なくなってしまった。

 サニーはボールや、石などを投げてやると、走って取りに行く。

 庭には、まだ、ところどころに、捨てられたまま瓦礫がある。

 その瓦礫を拾い、投げてやると、他の瓦礫でなく、間違いなくその瓦礫を拾ってくる。

 私が投げた瓦礫であるかどうか、どうして判るのだろうか?

 不思議に思う。

 匂いなのか?

 サニーは、くわえた瓦礫を、私のところに持っては来ない。

 サニー専用の、拾ってきた物を集める場所があり、そこにくわえていく。

 私のところに持って来ないのは、持って行っても食べ物を貰えるわけではないと、判っているからか?

 朝、草とりをする前に、必ず瓦礫を捜し、投げてやる。

 サニーは、庭の中を鉄砲玉のように、飛んでいく。

 すばやい、動きである。

 私は、そんなサニーに、1つの訓練をした。

 投げる前に、口笛を吹き、そして、瓦礫を投げる。

 すぐに憶えた。

 サニーは、私が見えない場所にいても、口笛を吹いてやると、その口笛に答え、走ってくるようになった。

 投げてやる。

 取りに行く。

 そしてサニーは、自分の宝石の在り処に、瓦礫を貯めていく。

 私は、草とりをしていて、瓦礫を見つけると、口笛を吹き、瓦礫を投げ、サニーを走らせる。

 草とりを終えると、私は、サニーの宝石の在り処に行き、瓦礫を箱に入れ、庭の隅にある瓦礫置場に、その瓦礫を片付ける。

 今まで、瓦礫を見つけると、そのたびに瓦礫置場に片付けていたのがなくなった。

 昔、テレビで、「リンチンチン物語」を見ていたが、リンチンチンはシェパードであった。

 リンチンチンまでにはなっていないが、シェパードの血を持つサニーを私は賢いと思うようになった。

 次は、小鳥である。

 サビアは、少し遠い場所で囀っているが、また近くに来ることを期待している。

 数種類の小鳥が囀り、心を和やかにしてくれている。

 茶色の小鳥で、日本のスズメより少し小柄な小鳥が、樹の枝にととまり、囀る。

 「チュン、チュン」。と可愛い声で囀る。

 まさしく、「チュン、チュン」と囀っている。

 他にも数種類の小鳥が囀っているが、小鳥の囀りをどのように表現し、書くのかわからない。

 表現が難しい。

 「ピーチク、パーチク」と「雲雀」の囀る様子を言葉に表現した人は、素晴らしい人と思う。

 「雲雀」は「ピーチク、パーチク」と囀っているとは聞こえない。

 でも、「雲雀」の囀りにお似合いの表現であると思う。

 この言葉を借りて、マチダ家の庭と、その近くでは、数種類の小鳥たちが、かわいい声で、「ピーチク、パーチク」と囀り合っている。

 こう表現させてもらいます。

 「てんとう虫」が顔を出しはじめた。

 「アブラムシ」を食べてくれるという。

 もし、薔薇にアブラムスがついたら、食べてくれるだろうか?

 赤くて、黒い星が七つでなく、もっとたくさんあるてんとう虫。

 頭とお尻が緑色のてんとう虫。

 黄色で、黒い星のてんとう虫。

 黒くて、白い星のてんとう虫。

 「てんとう虫のサンバ」の歌の如く、「赤、青、黄色の衣装を付けたてんとう虫がしゃしゃり出て・・」。

忙しく動き回っている奴。

じっと動かないでいる奴。

様々である。

 時には何故か、ひっくり返って、短い脚を前後に動かして、助けを求めている奴もいる。

 どうして、ひっくり返ってしまったの?

指をさしだしてやると、その指に必死にしがみつく。

 持ち上げて、元に戻してやる。

 きっと、「オブリガーデン」と言いているはず。

 てんとう虫は、この庭のマスコットになって欲しいと思う。

 「蝶」は、黒い羽根に、何やら他の色の模様のある、日本のモンシロチョウより少し大きい蝶を、見かけることがある。

 もっと、たくさんの種類の蝶が飛んでくると良いのに・・・。

 それには、たくさんの花を咲かせねばなるまい。

 ブラジルには、たくさんの種類の蝶が、生息すると聞く。

 

 他には、私の腰に付けた、蚊取り線香を嫌う奴。

 葉に留まり、手を擦ったり、足を擦ったりしている奴。

 そして、名前を知らない、昆虫達。

 「欽ちゃんの 良い子、悪い子、普通の子」

 庭の生き物がみんな,良い子であって欲しいが、そうでもないようだ。

 色々な奴が、出てきそうだ。

 夏に向かうにつれ、マチダ家の庭では、様々な生き物の、様々な生活の様子が、見られそうである。

         草を取る 一息つぐや 空仰ぐ

               小鳥の囀り 我は和むや

爺さんの毎日の草取りの恰好。

ドロドロの中でも、我、進まん!

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