風よ伝えて(爺さんのブラジル移住)第90段
家を建てはじめる
サビアの鳴く声が聞こえた。
ここ1週間ほど鳴き声が聞かれなかった・・・。
新婚旅行から帰って来たのだ。
新婚旅行に行く前は、朝早く、まだ暗いうちから、マチダ家に近い場所で、鳴いていたと思うが・・・。
今日は、朝、8時過ぎに、その鳴き声を聞いた。
遠くで鳴いている。
以前は、飛行機が通り過ぎる間でも、鳴き声が聞こえていた。
今は、飛行機の飛ぶ音で鳴き声が、消されてしまう。
何処に、新居を構えたのか?
サビア君!
マチダ家には、大きな桑の樹があるから、その樹の最上階に、スイートルームを作ったらいいよ。
見晴らしの良いところだよ。
サビア君なら、貸してあげるよ。
先日、伯が、不動産の仕事を始めたから、賃貸の契約をしてやってくれ。
マチダ不動産は、善良をモットーとしているから、地代は安くしておくよ・・・。
サビア君の美しい鳴き声だけで、地代は充分だから・・・。
いつまでも、美しい鳴き声を、近くで聞かせてくれよ。
そして、新築の話が、もう1つ。
マチダ家の新築の話である。
お父さんのための家の新築がはじまった。
お父さんは、毎日、夕方になると、自動車を運転し、バーに通っている。
「お父さん、お母さん」の段で書いた、バーの隣の土地である。
ここに家を建てれば、お父さんは、もう自動車の運転をしなくてすむ。
とりあえず、新しい家には、お父さんと、お母さんの2人が、住むことになる。
もう、1ヶ月ほど前から、工事は始まっている。
テテと、伯と3人で、建築現場に行った。
テテと伯は、何度も、建築現場に行っているが、私は、初めてであった。
ブラジルに来て、フライパンの中のポップコーンの種がビックリすることは、もう残ってないと思っていたが、これぞ、ビックリである。
家を建てるのに、設計図面がないのである。
現場は、コンクリートで地中梁が打ち終わっているところであった。
コンクリートの充填がしっかり出来ていて、地中梁は、綺麗であった。
あちこちと見ていた時に、テテと、伯と、建築会社の社長とで、打ち合わせがはじまった。
社長は手に何かを破いたと思われる、薄茶色のA五判くらいの小さな紙の切れ端を持ち、もう一方の手に、ボールペンを持って、話を始めた。
3人で、家の間取りを決めはじめたのである。
そして、社長は、その小さな紙の切れ端に、間取りを、ボールペンで書いていった。
設計図などは、この時点で、まだなかったのである。
私は、ビックリしてしまった。
そういえば、先ほどから見て回った地中梁には、排水のための穴など、何処にもなかった。
設計図がないのだから、何処に穴をあけるかは、決められない。
家に帰り、伯に新築の時の確認申請の事を聞いたら、道路からどれだけ離して建築するかを申請するだけのようであった。
どのような家を建てるかは、申請しなくても良いらしい。
ビックリであった。
コンクリートで地中梁が作られていたことも、ビックリであった。
ここちらは、私が勝手に、地中梁もブロックで作られると思っていたのだから、良いほうのビックリであった。
今からの工程が、どのように進んでいくのかが、楽しみになってきた。
まだ、ビックリが残っているかも知れない。
新しい 家での生活 はじまるに
老いたる父母の 想い出作り
まだまだ、頑張ってください。
※お母さんの白内障、そして、ネネの心臓の2つの手術は成功し、もう病院通いはしなくてもよくなった。
その報告をするために、おかあさん、ミドリ、ネネの3人で、昨日、サンパウロにある教会を訪れ、礼拝してきた。
めでたし・・・めでたし・・・。
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