風よ伝えて(爺さんのブラジル移住)第53段

七夕祭り


 7月13日(土)、14日(日)は、サントアンドレ市で、七夕祭りが開かれた。

 『日本人街』のリベルダージでも、また、他の場所でも、七夕祭りが開かれるが、開催日はまちまちで、7月7日とは決まっていない。

 ブラジルでも、日系人の力で、七夕祭りが開催されている。

 サントアンドレ市は、サンパウロ市の東南に位置する。

 マチダ家からは、車で1時間半ほどかかる。

 自動車工業、化学薬品工業などが盛んな都市である。

 また、サントアンドレ市は、高崎市と姉妹都市提携をしている。

 その提携三30周年記念のモニュメントが、市内の小高い丘の中腹に建てられている。

 その横には、赤い鳥居がたっているが、これは、その時の付録であろう。

 グランドカバーの緑色が美しい広場である。

 丘の頂上には白い教会があり、30分毎に鐘を鳴らしていた。

 大きなオオムが数羽、教会の天辺の十字架をかすめ、鳴きながら、風と戯れ、青い空に羽ばたき、飛んで行った。

 この広場に接し、小高い丘の中腹を横切る、幅が6メートルほどの道路で、七夕祭りが開催されていた。

 道の交差点から、交差点までの100メートル程の距離を封鎖し、入り口となる両側の交差点には、紅白の提灯、大きなポンポン球、笹が飾られている。

 また、片方の入り口には、大きな鯉のぼりが、1竿立てられていた。

ゆらりゆらりと、時たま吹く風に揺れ、気持ち良さそうに泳いでいた。

 七夕祭りに、鯉のぼりが飾られているのを見て、ブラジルの日系の方が、日本の文化を懐かしく思い、飾っているのだと思った。

 違和感はなかった。

 むしろ、かわいく、面白く感じた。

 

 短冊を1枚5円で買って、お願い事を書き、笹に縛っていく。

 はじめは、笹だけであったが、だんだんとお願い事がふえていき、笹が楽しげに、その願い事を叶えてあげようと、サワサワとやさしい音を出して、頑張っているようにみえた。

 6色の短冊は、お願いする内容で、色が決まっている。

 その内容は、この段の最後に追記しておきます。

 「生け花」「盆栽」「カラオケ」「三味線」などの催しがあり、たくさんの人が見物に来ていた。

 「和太鼓」の音は、周りに響き渡り、祭りを盛り上げていた。

 日系人に混じり、イタリア、ドイツ、アフリカのそれぞれの系統の人も参加し、うまく太鼓を演奏していた。

 日系のお年寄りで、まだ、1世とも思われる方も参加しているようである。

 ハッピを着ている人、和服を着ている人が、お祭りを取り仕切っていた。

 日本語が、あちらこちらで話されている。

 日本と、変わりはないではないか・・・。

 挨拶も日本語で交わされていた。

 見物に来ている人が、日本の風景とは違うだけである。

 道の両側には、露店が30店ほど出店していた。

 食べ物の店は、その半分くらいで、すし、やきそば、ギョウザ、べんとう、そして、飲み物などを並べていた。

 

 冬といっているのですが暑く、ブラジルの人は半袖姿が多かった。

 七夕祭りということで、夜の空を見上げてみたが、天の川が見えるわけがない。

天の川どころか、星は少し輝いているだけだった。

 南半球は、星が少ないのか?

 日本の空のように、星は輝いていない。

 空は、晴れていたが・・・。

 日系の人が、日本を紹介するために、力を出し合い、協力している姿のほんの1つである。

 国の文化を紹介しているのは、ブラジルでは、日系人と、ブラジルの南の方に集まってきているドイツ系の人たちだけで、他の国のイベントは開催されていないと聞いた。

 日系の人のイベントは、あちこちで開催されているようだ。

 

         七夕の 空に泳ぐは 鯉のぼり

               大きな口に ブラジルの風

 

 

※  短冊の色

   青 健康

   白 平和

   桃 愛

   緑 希望

   赤 恋

黄 お金

   

   「笹の葉さらさら・・」と歌に歌われている、「五色の短冊」でなく、六色である。

   「五色の短冊」は、色によって、お願いごとの種類を変えている。

   中国の「五行思想」に由来する。

   緑(東) 木 仁 徳を積み、人間の能力を高める。

   赤(南) 火 礼 父母、祖先への感謝の気持ち。

   黄(中央)土 信 知人、友達との信頼を大切にする。

   白(金) 義 義務、決まり事を守る。

   黒(水) 智 学業向上

   この、「六色の短冊」の願い事は、「五色の短冊」とは、色の種類と願い事の内容は違うが、そこから、派生したものであろう。

七夕祭りに飾られた1竿の鯉のぼり。

赤い鳥居は、サンパウロのところどころにあり、ブラジルでは、日本を象徴している感じだ。

ハッピを脱ぎ捨て、男女混じって、和太鼓を打ち鳴らす

夜に入っても、客足は衰えず、盛況の中で、短冊が多くなっていった。

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