風よ伝えて(爺さんのブラジル移住)第40段

趣味が昂じて・・・

 家族紹介のところで、妹のミユキは、ケーキとか饅頭を上手に作ると紹介した。

 それを知ってか伯と2人で何やら相談をし始め、「巻きずし、いなりずし、ふかし饅頭(日本のじょうよう饅頭)や、ブラジル風のコロッケ等」をメニューにした食べ物の製造販売を、開始しようというのである。

 簡単なパンフレットを作り、口コミで広めようとしている。

 2人の名前の頭文字を取って、パンフレットに「富」の名前を入れた。

 ブラジルでは、土曜日や日曜日を使って、誕生日会とかなんとかのパーティーが多く、その際に、一品ずつ食べものを持参して、色々な食べ物を分かち合う習慣がある。

 持ち込む料理は、手作りの家庭料理がほとんどである。

 家庭で作るのが面倒だという人もいる。

 そこに食い込もうという目論みである。

 巻きずしとか、前述の食べ物は日本より少し高めでもいけそうと言っている。

 親戚や兄のキヨカズなどから、注文が入り始めている。

 親戚以外のところからの注文に発展していくか、そこが問題だ。

 ブラジルには、バザールという催しがあり、日本でいう屋台が並び、食べ物だけでなく色々な商品を売る。

 7月に、そのバザールに店を出して、売ってみようということになった。

 私も前掛けをし、覚えたてのポルトガル語を連呼して頑張る予定でいる。

 「オブリガード」だけかもしれないなあ・・。

 後ひと月で日本からの引っ越し便の船が着く。

 その中に伯が日本で考えた、ブラジルでの秘密兵器が入っている。

 それも食べ物に関する秘密兵器である。

 何であるかは後段で紹介したい。

 こうして『趣味が昂じて・・・』がうまくいく事を願いながら、伯とミユキは注文の品を作った。

 商品を箱詰めし、並べて置いてあったトレイが空になった。

 私が洗うことになった。

 洗い物係を拝命されるに至ったのである。

 

        我が家で 旨いと評判 巻きずしが

                巷に颯爽 歩きはじめる

伯とミユキの食品販売パンフレット。

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