風よ伝えて(爺さんのブラジル移住)第38段

診療所にて


 歯垢の除去をしてもらうために、もう2度も診療所に通った。

 これで済と思ったがまだという事で、1週間後に予約をしてもらった。

 まだ完全に歯垢が取れていないのだ、と思って伯と2人で出掛けて行った。

 お母さんが予約の時間でなく、受け付け順で診療してもらえると教えてくれたので、30分早く診療所に出かけた。

 マチダ家からほんの100メートルほど、離れているだけの診療所である。

 「ミツアル(ポルトガル語は、Hを発音しないので、MITUHARUのHを発音しない)」と1番に名前を呼ばれ診療室に伯と2人で入った。

 私は、「ボン ジヤ」と偉そうにポルトガル語で挨拶した。

 そしたら、医者と看護婦が一斉に「オハヨウ」と日本語で挨拶を返してきた。

 あわてて私は、もう1度「おはよう」と挨拶をし直した。

 部屋中大笑い。

 私の気持ちが、緊張から和やかな気持ちに変わり、自然と笑顔になった。

 診療は歯垢の除去でなく、年齢と共に下がっている、歯茎と歯の間の隙間を埋めるという事であった。

 歯垢を取るだけのお願いであったが、ここまで丁寧にやってもらえる事に、本当にありがたいと思った。

 何故かというと「タダ」であるからだ。

 「タダ」であるから、親切と思えるのである。

 冗談はこれだけで、本当に「ありがとう」。

 今日はまだ歯の1部だけの治療だったので、次回の予約を取って帰った。

 今度行った時は、「おはよう」と言うのか「ボン ジア」と言うのか、考えるだけで医者と看護婦の顔が浮かび、微笑ましくなる。

 「グッド モーニング」とでも言ってみようか。

 私と同じくらいの年の親切な医師である。ユーモラスな明るい医師である。

 ただし、この歯垢の除去については年に1回の診察と決められている。

 私の歯は、日本にいた時の歯医者(歯垢をとってもらっていた)さんに「丈夫で、良い歯」とお褒めの言葉をいただいたことがある

 食いしん坊の私には、ぴったりの歯である。

 ちなみに、目の方も、67歳になった今でも、裸眼で新聞を読むことができる。

 でも、嗅覚と聴覚は、67歳程度の普通と思う。

 第6感は、昔から、人より劣っている。

 先がなかなか読めずに歳を取ってしまっている


     「ボン ジヤ」と 挨拶したら 「オハヨウ」と

              茶目っけたっぷり 医師と看護婦

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