風よ伝えて(爺さんのブラジル移住)第28段
住宅事情
土曜日にキヨカズが帰って来て、一緒に昼食を食べた。
食事をしながらの会話で、グアルーリョスにあるキヨカズのマンションに行くことになった。
本文の前に書いておきます。
日本で言われているマンションのことを、ブラジルではアパートと呼ぶ。
マンションという言葉は、お金持ちの豪邸を指すようだ。
ここでは、日本の呼び方で、全てマンションと呼ばせてもらう。
その方が判りやすいと考える。
キヨカズの住むマンションは、1階ごとに4世帯の部屋があり真ん中に定員が3人のエレベーターがあるだけの「のっぽビル」である。
キヨカズの部屋は24階建ての最上階にあり、6畳ほどの居間と同じ広さの寝室と台所など、余り広くはない。
部屋の中は、きちんと整理されていた。
遠くには、クンビッカ空港にとまっている飛行機が小さく見え、グラルーリョスの街が階下に広がり、坂道の様子が手にとるように見えた。
キヨカズは映画が趣味とみえて、映画に関する本とDVDが、天井に近い棚に、ずらりと並んでいた。
壁には、チャップリンの『街の灯』の名場面の写真が貼られていた。
モノクロの写真で、落ち着いた部屋であることを演出していた。
それと、映画ではないが、ビートルズの4人の模型があった。
その模型は、歩いている4人の姿であった。
10センチ位の大きさで、4人の特徴を良く捉えてそっくりであった。
板で作られた横断歩道を四人が一列に並んで渡っているではないか!
まさに、かの有名なビートルズの写真を真似て作られた模型であった。
それが棚の上に飾られていて、素晴らしく部屋の雰囲気に合っていた。
私にくれないものかと思ったが、キヨカズの素振りはその様子ではなかった。
残念・・・。
サンパウロもグアルーリョスも、この様なのっぽのマンションが今新しく立ち並び、街並みが変わりつつあるようだ。
30階以上のマンションも、たくさん建っている。
事務所用のビルは、こんなには高くない。
のっぽビルは、全て住宅用である。
大体白色系統の壁が多く、さわやかに見える。
本当に、のっぽのビルだらけである。
ブラジルのビルは鉄筋コンクリートか、ブロック作りである。
地震がない国ということで、建設中の建物の鉄筋を見ると、太さは日本よりかなり細く、本数も少ないことがはっきり判る。
ブロックはこののっぽビルには使われていない。
高層でないマンションには、ブロックが使われているようだ。
10階以上もあるマンションでも、下から上まで、ブロックを積み上げている。
そのブロックの模様は、少し離れた所から見ると、私には実に美しく見える。
そんなに高く積んでいくところは、地震大国の日本では、見られない光景である。
もう1つの建て方のマンションが、ブラジルにはある。
この家の建て方は、隣の家と壁を共通にしたいわゆる長屋のような建て方のマンションである。
これは、2階建てが多い。
日本のような一戸建ての建売りは見かけない。
この3種類がブラジルの分譲マンションのようである。
共通しているところは、ほとんどのマンションの入り口には警備員がいて、許可のない者は入れない。
のっぽビルはそのビルだけの警備だが、後の2種類のマンションの警備は、広大な面積のぐるりを塀で囲い、人が入れないようになっている。
マンションといっても、日本の公団アパートのように広く、その塀の中に何棟も建っている。
入口、出口は1ヶ所で、そこには警備員が配置されている。
これらは殆どが白色系統の壁でできているので、都会では赤い街がだんだん白く変わってきていると思われる。
一般の家庭ではまだ赤い屋根と壁で造っているケースが多い。
それも暇と時間をかけて、自分でレンガやブロックを積んで、家を建ててしまう。
当然、建築許可などない。
一般家庭の家は、日本にいた頃は、ブラジルでは、太陽が日中は北にあるから、北向きに窓を作って陽を入れていると思っていた。
そうではない。
暑いということで、日当たりは極力作らないように考えているようだ。
北側に窓はあっても明かりとりのためのようだ。
また一般家庭も防犯には気を使い、日本のように誰でもすぐにはいれるような門構えではなく、全て二メートルほどの高さの金属製の玄関で、必ずロックがされているようだ。
車のある家庭は、リモコンで扉を開け、車の出入りをしているところが多い。
最上部にガラスの破片が、埋め込まれている塀や、有刺鉄線が、壁の上にぐるりと張り巡らされている。
美観を損ねている。
マチダ家も例外ではない。
ブラジルは何であっても、防犯が最前線に位置しているように感じる。
のっぽビル 雲に届けと 背伸びして
赤い街並み 白く変わるや
グラルーリョスのノッポビル。
小さなエレベータが備え付けられているが、安全か?
最階上まで行くのに、エレベータが揺れ、大変怖い思いをした。
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