風よ伝えて(爺さんのブラジル移住)第9段

六匹の犬と猫三匹

 同居の動物たちのことを紹介しよう。

 その前に、この家族は、全くの動物好きであることを書いておく。

 捨てられている動物を見ると、可哀そうと感じるのだろう。

 拾って来ては、育てているようだ。

 

 犬は、三毛、黒、茶色、白と黒、白と茶色の5匹である。

 6匹目は、後述する。

小さな捨て犬を家族の誰かが連れて来て、育てている。

 5匹全員、雑種である。

 中型犬のオンパレードである。

 自由に飛びまわれる広い庭があり、幸せな犬達である。

 普段は、庭を走り回ったり、お互いにじゃれあったりしているが、家族が外出し、帰宅した時や、お客さんが見えた時は、一斉に吠え始め、状況を家族に教える。

 私がこの家に初めて到着した時も、一斉に吠えはじめた。

 人が家に近づいたことを、家族に知らせる。

 それは、拾われてきて、幸せにさせてもらっているという、恩返しであろうか。

 「俺達は、マチダ家を守っているぞ!」とでもいっているようにも感じる。

 「番犬」としては、5匹とも合格である。

 私は、まだ犬達の名前を覚えていない。

 と言うより、なかなか頭に入らない。

 歳であります。

 さて残りの1匹ですが、この犬は捨て犬ではなく、妹のミユキさんが、ジンタ君のお姉さんから貰い受けたプードルである。

 悲しいかな、私たちがブラジルに来る前に死んでしまい、会うことができなかった。

 心の中では、いつまでも6匹目として、皆の仲間なんだ。

 次に猫達である。

 猫達は、私と女房の部屋がある2階で生活をしている。

 「食べては寝、寝ては食べ。」の繰り返しだけで、犬達のような活躍はない。

 「番猫」という言葉が存在しない事を証明している。

 3匹のうち1番大きく年寄りの猫は、真っ白で片目が青い猫である。

 猫としてはすごくでかい。

 このでかくて白い猫は、女房が日本にいた頃に、私と女房が働いていた会社の近くで、雨の中で腹をすかし、寒さで震えて死にそうになっている手のひらに乗るくらいの小さな猫を、女房が拾い、借りていたアパートでこっそり飼うようになったのである。

 女房が会社に出掛けると、アパートでは1匹だけになり寂しいと思い、ペットショップの無料で貰うことのできた雑種の猫を1匹貰ってきて、一緒に狭いアパートで飼い始めたとのこと。

 リーマンショックの1年前に、女房は1度ブラジルへ帰っている。

その時に、この2匹を、ブラジルへ連れて帰った。

 二匹は、「日系ブラジルにゃんこ1世」になったのである

 もう1匹は兄のキヨカズ君が、何処からか、拾ってきた猫である。

この猫は、ブラジル生まれ、ブラジル育ちである。

捨て猫時代に、犬か大きな鳥か判らないが、片目をやられ、左目のない独眼竜の猫である。

 鼻黒の三毛猫である。

3匹の中で、1番よく私に近づいてくる。

 頬ずりをしたり、膝に乗り、小さな声で鳴く。

 日本生まれの2匹とは仲よしではない。

鼻黒は、部屋の中でなく、ベランダだけを生活の拠点にしている。

 この様に犬も猫も可愛がられ、生活をしている。

 

 犬については、私が小学生の頃に、日本の実母が近所の犬に足をかまれ、怪我をしたという記憶がある。

そんなことがあり、あまり動物が好きではなかった私ですが、今、犬や猫がかわいくなり始めている。

 ・・・・・・・・・

 よくよく考えると、私は戌年。

 しかも、社会では定年を過ぎると、もう用のない捨て犬になってしまう。

 きっと、女房はこの捨て犬を、可哀相と思い、7匹目の犬として拾って、ブラジルに連れて来たのだ!

 ま・ち・が・い・な・い 。 

 きっと、他の犬と同じように、ブラジルでもかわいがってもらえる。

 巷にて 震える子猫 拾い上げ

    知れずに飼うは 狭きアパート

    

 

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