風よ伝えて(爺さんのブラジル移住)第339段
打水的霧吹きの術
昨年の暮れ近くまで、グアルーリョスの気温は、さほど上がらず、どちらかと言えば暑さが体にこたえるというような空模様ではなかった。
新たな年を迎え、太陽は、思い出したように気温は上昇しだした。
夕方に一雨くることがあるが、太陽の下では、やりきれない暑さになった。
私と伯の部屋には、西日が差し込む。
夕方7時になっても、まだ、西日は、容赦なく部屋の温度を上げていく。
冷房装置は、設置してはいない。
3年前には、クーラーを買ったが、部屋に取り付けずに、梱包されたまま、放置されている。
ブラジルでは、装置を買っても、取り付け工事は、別になる。
電気料がもったいないとか、私たちだけクーラーをつけていては、他の家族に申し訳ない。
そんなおもいで、3年も放置されている。
そんなら買わなかったほうが良かったんでは・・・・。
そう思う。
昨年の夏の事、ふとしたことが古ぼけた爺さんの脳に閃いたのである。
日本の夏の過ごし方を・・・・・・閃いたのは、古都京都の“打水”なのです。
「暑い、暑い」、西日で部屋が焼かれている。
おう!部屋は、タイル張りだ。
いっちょう、水を撒いてやろうか。
霧吹き、霧吹き。
伯がアイロン掛けで使っていたなあ・・・・。
おう!あったぞ!
水を詰め、「シュシュ・・・シュシュ・・・」
タイルが水で濡れている。
ところが、すぐに乾いてしまう。
もう一度・・・・・。
「シュシュ・・・・シュシュ・・・」
あれあれ、思った通り、部屋が涼しくなってきた。
ええい!いっそう、ベッドにまこう。
「シュシュ・・・・シュシュ・・・・」
あれあれ、ベッドも涼しくなってきた。
水分蒸発、早い、早い。
繰り返し・・・・繰り返し・・・・・。
クーラーなんぞ、要らないではないか・・・・。
「打水的霧吹きの術」
嘘の様で、嘘でない、ほんとの様で、ほんとなんです!!!!
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