風よ伝えて(爺さんのブラジル移住)第336段
海
空、コバルト色に染まっている。
雲、真っ白な綿雲がポカリ、ポカリ。
遠くに、紺碧に染まった海が地平線を描いている。
海の色は、私の故郷、三河の海より淡い緑色に染まっている。
波頭は、これ以上白いものがないほどに白く、リズムに乗って海岸に打ち寄せている。
白砂は、片栗粉のように、キメ細かい。
歩くと、足裏に、砂浜の硬さが伝わる。
指で掘り返すことが出来るが、砂が細かく、硬く閉まっている。
今、肩まで海に浸かっている。
黒のタンクトップ、黒っぽい普段の単パン姿。
ゆっくりと、海底を足でける。
顔を海面から出したまま、ブレストで泳ぎ始める。
波に逆らい、5メートル。
”泳いだぞ!”
そして、今度は、顔を水中に・・・・10メートル。
(2年前、日本に戻り、知多、三河、神島の海に、靴を脱ぎ、靴下を脱ぎ、ジーパンを捲し上げ、裾を濡らし、膝まで入った海。この時は9月、もう遅い、海に入っただけであった。)
今日は、泳いだのである。
70歳、まだ、泳ぐことが出来る。
波に逆らい、潜水。
5メートるほど潜り、泳ぐことが出来た。
高校生の時、50メートルプールで、50メートルターンをし、100メートルを潜水できた時代。
浜っ子は、もう、70歳位。
帰り来ぬ青春・・・・・。
しかし、海を見、泳ぐことが出来た、感動。
透き通った海。
遠くまで続く砂浜。
初めて見るブラジルの海、待望の海・・・・・。
満足感、この上ない・・・・・・・・70歳になった浜っ子。
伯と隣り合わせで、波打ち際に押し寄せる波と沖を見ながら、両足を伸ばし、腰を下ろす。
両手は、後ろ手である。
波が打ち寄せる。
手のひら、足の先、お尻の周り。
砂が波にさらわれ、削れていく。
手の指の砂が・・・・・・さらわれて、手の甲だけ砂が残り、砂を握る格好になる。
それでも、大きな波は、手の甲の中の砂でさえ、さらっていく。
波しぶきが、顔にかかる。
潮は、日本の潮より、濃く感じる。
いつも作る、漬物の前付けの塩加減は、10%の塩加減である。
それより、しょっぱい。
体を180度回し、腹這いになる。
大きな波に、体は浮き、岸に流される。
体重〇〇〇キロの私でさえ、流される(〇〇〇を使って数字を作ると、丁度今の私の体重になる)。
休憩所に戻る。
缶入りのセルベージャ(ポルトガル語でビール・・・・こういった言葉だけ、爺さんはすぐに覚えることが出来る能力を持ち合わせているのです)を2本飲む。
冷たさが、そして、海に来たという解放感で、美味さ100倍。
ハンモッグが吊るしてある。
爺さん、ユラリ、ユラリとハンモッグ。
夢も見ないで、グッスリと・・・・1時間。
大きな口をあけて、大きないびきをかいていたかは、定かではない。
まだ朝早い、海岸へ続く道。
水は、あまり冷たくはない。
やはり、南国ということか。
遠く続く砂浜。
まだ、人影が少ない、砂浜。
朝日が昇り始める砂浜。
何処まで、歩いていくのだろうか・・・・。
いたずら好きの爺さん、ちょっと店先、カメラが疼く。
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