風よ伝えて(爺さんのブラジル移住)第288段

 眼医者


若い頃、と言っても、還暦を迎えた頃までのお話。

 脳みそを使った競争には完敗つづきの人生であったが、とかく眼に関しては、おいそれと負けてはいなかった。

 会社の定期健診などでは、視力の検査をすると、必ず1.2〰1,5が見え、時によっては、2.0を読むことが出来たこの眼。

 裸眼で、新聞を読むことが出来た。

 眼鏡をかけ、コンピューターに向かうようになって10年。

 これは、別に小さな文字が裸眼で読めないということでなく、眼の疲れを少なくするために使っていた。

 ところが、1年くらい前から、右目がおかしい・・・・・・。

 ぼやけて右眼だけでは、0.5くらいの大きさの字がぼやけ、読めなくなった。

 そして、左眼に比べ物が大きく見えるようになり、両眼で物を見ると、2重に見え、ぼやける。

 こんちくしょう!!!!!!

 なんてこった!!!!!!

 伯に頼み、眼医者に行った。

 水曜日で、伯には、ケーキ作りの講義がある日だったが、2週間前に予約し、今日しか予約が取れなかったのである。

 30分ほどかけ、検査をしてもらった。

 眼科医は、私と同じ年か、もう少し年配の日系人で、優しく、親切な眼医者であった。

 有料ということで、結構な診察料だったが、日本にいる頃に支払っていた、毎月の介護保険や医療保険(生命保険)を考えると、まだ安く思えた。

 

 右眼。

 眼球が変形していて、ここでは、どうしようもないと、大きな眼医者を紹介された。

 左眼。

 医者の言葉がよくわからないが、何かが(血管なのか?)細くなっていて、将来的にみると、眼圧が上がり、失明に危険があるとのこと。

 ポルトガル語で、伯に通訳してもらいながらの診察であったが、伯も専門用語を日本語に訳すことが出来ないのかもしれない。

 よくわからないことがある。

 でも、今からレーザー治療をするとのこと。

 通院すればよい。

 病名がなんだかわからないが、医者にまかせておこう。

 眼鏡をはめようが、とにかく見えればよい。

 右眼の変形も、眼鏡を使ってぼやけて見えるのがなくなれば、それでよいと思っている。

 今更、まん丸の眼球を望んではいない。

 70歳。

 若者と同じわけにはいかない。

 それでよい。

 それでよいというのは、諦めではない。

 諦めではない「それでよい」ということ。

 少しの間、通院することになった。

 

 伯が丁寧に対応してくれた。

 本当に、有難う。

0コメント

  • 1000 / 1000