風よ伝えて(爺さんのブラジル移住)第269段

「3年が経った」の章、〆

  サントアンドレの七夕で、初めて露店に参加してから3年が経った。

 「石の上にも3年」というが、苦しい3年ではなかった。

 楽しく、充実した3年であった。

 当初、伯は、仕事として家業の不動産売買を手掛けようとしたが、諦めざるを得なかった。

 その後に、美容師の資格を取り、食品と平行し、美容院を始めようと資格を取得したが、接客に自信がなく、開業することができなかった。

 今は、食品1つに絞り、頑張っている。

 もう、これに決まったようだ。

 伯が、自分が売りたい食べ物の作り方を覚え、楽しくやっている姿を見ると、これでよかったと思える。

 忙しい毎日である。

 あれやこれやトライをし、販売してみる。

 成功あり、失敗ありの試行錯誤。

 売る前に売れる、売れないは、言わないことにしている。

 これは、2人の暗黙の了解である。

 なぜなら、売ってみなければ、わからない。

 売る前から、いろいろ講釈する必要は、何もない。

 食べてみて、旨い、それなら、いくらで・・・・この繰り返し・・・・。

 売れる売れないは、お客さんが決めることである。

 

 「商品開発の日々、伯と2人でここまで来た。」という感じだ。

 何も知らなかった3年前のサントアンドレ。

 今は、伯が、あちらことらのフェスタやバザールを探し、100キロも離れた場所にも真っ赤な愛車「フィット」で楽しく、ドライブ気分で出かけ、出店している。

 販売の楽しさのエピソードを2つ書いておきます。

 1つめ

 おばちゃん「先日のリベルダージの文教のフェスタで、あんたとこの【おはぎ】買ったよ。」

 じいさん 「ありがとうございます。」

 おばちゃん「とってもおいしかったよ。私ね、名古屋で仕事をしていたの。名古屋駅の売店で、【赤福】を買って食べて、おいしくて、名古屋の駅に行くたびに買って食べていたの。あんたの【おはぎ】を食べたら、【赤福】と味が良く似ていて、手にあんこが付かないけど柔らかいので【赤福】を思い出しちゃってね。ありがとねえ・・・・・。1つ頂戴な。」

【おはぎ】を袋に入れ。

 じいさん 「ありがとうございます。(オブリガーデンとは言わずに)」

 2つめ 

 じいさん 「エスペリメンタ・・・・。エスペリメンタ・・・・。」

         ピリカラ漬を試食したおばちゃん。

 おばちゃん 「あら、おいしい。これ白いご飯にとっても合うよ。」

 じいさん 「すみません。今日は、白いご飯を持って来るの忘れました。」

         笑いながら

 おばちゃん「あら、今度は持ってきてね。おにぎりにも合うから、ついでにおにぎりもね・・・。1つ頂戴。」

 

 なんて、おもしろ、おかしくやっています。

 さて、残された人生。

 伯と2人で、食べ物作りをすることになったようだ。

 これだけにしよう。

 他はいい。

 懸命にやってみよう。

 「爺さんが食べ物」、これが「塞翁が馬」になるように・・・・・・。

 これからの課題。

 たくさんありすぎる。

 1つ1つこなしていこう。

 あれから3年。

 ここで、いったん〆て、新しい気持ちで、新しい展開を始めようと思う。

 でも、1年前に建てた作戦、「不景気の中、たくさんの人に買ってもらいたい大作戦」は、続行中である。

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