風よ伝えて(爺さんのブラジル移住)第267段

6月の風(2016年)

 伯は、仕事として、当初、家業である不動産取引業を目指し、いきなり滞納家賃の取り立てをさせられるということでこの仕事をやらないことにした。

 そして、美容院を開くために美容師養成学校に行き、その課程を修了した。

 ところが、美容師養成学校で、訓練のために格安に設定されたお客に調髪、整髪をしていたが、お客の中で、ずい分と髪が汚れ、その不潔さから逃れられないことや、短期間の養成期間で、開業する自信をつけることができなかった。

 食品と美容院を平行してやっていきたいと思っていたが、食品だけに絞ることにした。

 今度は本決まりと思う。

 すでに2か月前から、グラルーリョスのあるケーキやパンなどを作ることを専門にした学校に通い始めた。

 2か月が過ぎ、今では、自分でパンを試作している。

 永い人生、あせらずに、じっくりと行こうではないか・・・。

 

 さて、露天商については、大変問題が大きくなっている。

 それは、材料費の値上げである。

 露天商を始めた3年前の価格は、ニンニク1キロが10ヘアウであったが、今は2倍の20ヘアウになっている。

 店によっては、25ヘアウと高くなっている。

 キュウリは、1キロ3ヘアウくらいであったのが、2倍の6ヘアウで買えれば安いほうである。

 先日などは、霜が降りたから14ヘアウと値上がりした。

 日本でも天候不純で値段が高騰する時があるが、それに輪をかけた値上げである。

 ちなみに、日本では、スーパー同士が価格競争をするが、ブラジルでは、そのようなことはないようだ。

 ピリカラ漬に使う醤油をたとえにとると、1つのスーパーでは、4リットル50ヘアウが、他の店では、42ヘアウ、もう1つの店では38ヘアウとまちまちで、こういったまちまちの価格設定は、醤油と言わずに、全てに言えることである。

 同じ店でも、日によって値段が変わっている。

 このように、スーパー同士の価格競争がなく、野菜、肉、魚などすべてに値上げが続いている。

 だから、あちらこちらのスーパーにいき、安い食材を探す。

 今度のバザールは、7月3日であるが、キュウリのピリカラ漬は作らずに、ニンニク、ダイコンの漬物だけにする。

 鯛焼は、25%の値上げをする。

 値上げは、初めてである。

 他の食べ物の値上げはない。

 “不景気の中、たくさんの人に食べてもらおう大作戦」で、むしろ値下げをし、買ってもらえやすくしている。

 

 商品のアイテムについては、試作をし、売ってみてよく売れるものを残している。

 また、日系の人たちが好んで食べてもらえる物だけでなく、非日系の人が好んで食べる物をも試作し、客層の幅を広げていくように考えている。

 私には、何が好まれているのか、全くわからないので、伯がいろいろ考えている。

 新しいアイテムについては、自分へのまとめとしても、来月、書くことにしよう。

 大統領が弾劾された中のオリンピック。

 国民の不満の中のオリンピック。

 そんなブラジル。

 今年の冬は、例年になく寒いブラジル。

 グラルーリョスの朝は、濃い霧の中。

 そんな中で、伯は食べ物を作ることを選んだ。

 希望を持とうではないか・・・・。

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