風よ伝えて(爺さんのブラジル移住)第249段

1月の風(2015年)


 日本には、おせち料理があり、豪勢な正月を迎えるが、ブラジルの正月の料理は、実に簡単である。

 マチダ家では、正月の朝、雑煮を食べるだけである。

 おせち料理を食べたいと思うが、爺さん、鼻の下を長くして、伯と正月を迎えることが出来たことに幸せを感じている。

 他の家庭も、きっと、似たりよったりであろう。

 街中の様子は、普段と変わらずに、正月の飾りは何処にもない。

 まだ、クリスマスのサンタが暑そうな赤い服を着て、街角に立っている。

 

 1月は、例年になく雨が少なく、サンパウロでは、危機的な水不足になった。

 テレビは、水源の水不足の状況を報道している。

 サンパウロやグラリューリョスでは、場所によって長時間の断水を強いられている。

 プランターで野菜を作ろうと思ったが、散水に貴重な水を使うことはできない。

 キュウリ、トマトなど種をまき発芽したが、育てるのを断念した。

 

 庭には、ブラジルの国花のイペーアマレロを植えたり、ランタナを植えた。

 1年前に植えた紫陽花は、全て枯れてしまっている。

 土が良くない。

 私がブラジルに移住した記念に植えたマナカ ダ セーラも6本の内、3本枯れてしまった。

 今度は、土のよい場所を選び、植えて行くことにした。

 草取りをしていると、ここなら土が良いと思う場所を見つけることが出来る。

 グラリューリョスの1月の気候は、めっちゃ暑い。

 草取りで、低い椅子に座り、膝を曲げていると、その曲げた膝が、太陽に照らされ、ズボンの中の膝でさえ、赤くなり軽度の火傷をしてしまう。

 だから、たびたび、膝を動かさないといけない。

 でも、南の心地良い風が吹くと、その風に包まれ、エアコンの効いた部屋に居るようになる。

 木陰でのその涼しさは、格別な涼しさになる。

 私の部屋は、昼間の暑さが籠り、寝られたものではない。

 昨夏にクーラを買ったが、ブラジルではその取りつけは、別の業者に設置を依頼する。

 買っただけで、使うことが勿体ないということと、他の家族のことも考えなくては、ということで、いまだ扇風機だけである。

 そこで、爺さん、ふと、思いついた。

 日本でやっている、「打ち水」である。

 部屋に、アイロンかけの時に使う「霧吹き」が眼に入ったのである。

 ブラジルの部屋の床は、タイル貼りである。

 床に「しゅっ、しゅっ」と霧吹きをした。

 日本の蒸し蒸しした気候と違い、ブラジルは、からっとしていて、霧吹きをした水分は、たちまち蒸発してしまった。

 幾度か霧吹きをしていると、部屋の温度が下がって行った。

 すぐに乾いてしまうでないか・・・。

 ベッド、机、それこそ部屋中に幾度か、霧吹きをした。

 とっても、涼しくなっちゃった。

 伯に、「ブラジルの人は、こんな事する人がいるか?」って聞いたら、「しないでしょう・・・。」だって。

 教えてあげようか・・・。

 「珍発見」であった。

 涼しく、とっても涼しく眠る事が出来るようになりました。

 鯛焼、ピリカラ漬の活躍の場はなかった。

 鯛焼は、白あんのトライをし、今度、デビューさせようと思っている。

 

 1月の晦日は、おふくろの命日。

 菊の生花と、おふくろの好きだった「いなり寿司」をお供えした。

 東本願寺には、行かなかった。

 お許しのほど。

 毎朝の、お位牌との「おはよう」の挨拶は、欠かしてはいない。

 

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