風よ伝えて(爺さんのブラジル移住)第246段

年の瀬(その四)

 ピリカラ漬


 リベルダージでの3週のバザール出店では、キュウリのQすけことピリカラ漬は、順調な売れゆきであった。

 1週目は、200グラム入りの容器を10個を用意した。

 1日で完売し、2日目には、売りたくても、物が無い状況であった。

 2週目は、20個用意したら、これは2日で完売であった。

 3週目は、30個用意したら、これも2日で完売した。

 伯の話では、「日系人は、漬物を食べるが、その他の人達は、ピクルスを食べる。」とのことであった。

 だから、初めの週には、試験的に10個だけを用意した。

 「エスペリメンタ(食べてみてください。)」と声を掛け、食べてもらう。

 大変、受けがいい。

 日系人以外の人達も、「おいしい。」といって、1度に3個も買って行った客がいた。

 「ちょっと、キャシュカードしか持っていないから、銀行に行ってお金を下ろしてくる。」といって、近くのキャッシュコーナーまで行き、戻って来て、買ってくれた。

 私の店では、キャシュカードでの販売を、まだやっていない。

 出店している他の店では、キャッシュカードでの販売をしていた。

 発売当時、福神漬に完敗だったピリカラ漬であったが、その後の改良が、売上につながったと思っている。

 私が作りたいと思っているピリカラ漬に近づいている。

 幾度も、幾度もトライをして、私と伯の食事のおかずとして、改良して来た。

 にんじんや、大根などの仲間がいたが、今はもう、Qすけ1人で充分のようだ。

 こんなに順調に売れたのは、ピリカラ漬に私が入れた「愛情」が客に通用しはじめたのだ。

 材料の割合を変えながら、食べた時に、始めは甘く感じ、暫くすると、ショウガとトウガラシが口いっぱいに広がり、ピリカラ状態を作る。

 これを、ほぼ、私が思うような物に作ることが出来た。

 でも、「愛情」は、材料の割合だけではない。

 ポリポリ感を感じてもらえるように、キュウリの新鮮さ、太さなどを毎回、市場に行き、最高の物を仕入れている。

 また、きゅうりを切る厚さも、ポリポリ感の重要な「愛情表現」になった。

 ピリカラ漬でも、始めに作った物とは、かなりかけ離れた物になった。

 私の客への「愛情」は、こんなところにある。

 今、キュウリを同じ厚みにしたいので、その道具を考案中である。

 惨敗であった、ピリカラ漬けは、Qすけ1人の頑張りで、他の漬物と競争できるようになったと感じている。

     泣いていた Qすけ元気に 声を掛け

          私は美味しく 変身したの・・・

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