風よ伝えて(爺さんのブラジル移住)第245段

年の瀬(その3)

 鯛焼

 ブラジルに来て、鯛焼を売り始めたのは、今年3月の小さなバザールであった。

初陣は、食べ物と見られずに、完敗した。

 1個売りでなく、3個入り、5個入りを作り、食べ物であることを強調した。

 リベルダージの日系文化協会のフェスティバルでは、完売することが出来た。

 順調に成長しているといった感覚を持っていた。

 日本からブラジルに戻り、角田君の発案で、角田君夫妻と伯と4人で食事をする機会を持った。

 その時に、リベルダージにある宮城県人会が毎月「青葉祭」と言う祭りをしていることを聞き、後日見学に行った。

 リベルダージのメイン道路から少し離れたところにあった。

 こじんまりとした中で、数軒の出店が、野菜、漬け物、衣料品などを売っていた。

 1時間ほど見ていたが、客はあまり入る様子ではなかった。

 出店すべきかどうか、迷いながら帰る途中で、バザールが開かれている場所の前を通った。

 バザールの責任者と話すことが出来た。

 私たちが日本に行っている八月に、新しくバザールを開いたとのことであった。

 リベルダージの駅前の露店を出店のターゲットにしているが、出店の募集は、全くしてはいない。

 25年間も、出店を待っている人がいるとも聞いた。

 

 駅前ではないが、リベルダージのメイン道路で開かれているバザールであるから、やってみようと思い、詳細をメールで知らせてくれるようにお願いした。

 月に6日、土曜日と日曜日に開かれている。

 念願のリベルダージで出店出来ると思い、やってみようと、出店をお願いした。

 1週目は、鯛焼が売れない。

 売れても、5個入りでなく、1個売りのものが多かった。

 2日目も、同じであった。

 2週目、3週目も1個売りだけが売れていった。

 伯と私でその状況を分析した。

 日系人は、「お土産」として、5個入りを買っていく人がいる。

 ここ、リベルダージでは、日系人の比率が少なく、1個を買って、その場で食べてしまう。

 このような行動であると、分析できた。

 日系人が少ない場所では、1個売りを主体にした方が良いという売り方の方法を勉強することが出来た。

 ところが、このバザールは、リベルダージのメイン道路に接してはいるが、道路に接していて道路から中の様子が見える場所には、衣料品や装飾品の売場となっていて、私たちが開いている場所は、そこから六段の階段を登って、幅が1メートルほどの通路を10メートルほど奥に入った場所にあり、メイン道路からは、出店の様子を見ることが出来ない。

 メイン道路には、溢れんばかりの人が行き来しているが、私たちが出店している場所には、人はまばらの状態であった。

 パラパラと人が入ってくるだけで、メイン道路がリベルダージ街なら、私たちの出店している場所は、リベルダージ村で、5分間くらい客がはいらない時があった。

 売上は、伸びない。

 急遽、伯が、作ったブラジルやアルゼンチンのお菓子で売上を伸ばした状態であった。

 鯛焼は、客数の割には、売れたが、この客数では、出店を続けて行くことはできない。

 来週は、リベルダージで「屋台まつり」が開かれるから、客足が増えると、バザールの責任者は言っていた。

 私は、その逆で、「屋台まつり」に人が集まり、客足が減ると推測した。

 三週間で、このバザールとお別れをした。

 待望のリベルダージでの出店であったが、リベルダージ街で無く、リベルダージ村であったのが、残念でたまらない。

 また、出直しである。

 

 この1年間で、鯛焼は、このように進化しました。

 鯛焼のお腹のあんこの様子が変わりました。

 金型に生地を流し込み、あんこを入れて、もう一方の金型に生地を流し込み、パタンと金型を閉じる。

 一般的な鯛焼スタイルである。

 伯と私は、違った焼き方を考案した。

 サンドイッチ方式である。

 従来の焼き方であると、あんこがお腹に沢山入らない。

 もっと、あんこをお腹に詰め込みたいのである。

 鯛焼の右と左の生地をくっ付けずに、別々で焼き上げる。

 焼き上げた後で、片方の生地にあんこを乗せる。

 そして、その上にもう一方の生地を乗せる。

 右と左の生地は、くっ付いてはいない。

 外からあんこが丸見えである。

 このようにして作ると、あんこの量を2倍ほどお腹に入れることが出来る。

 伯と私のお客さんへの「愛情」である。

 教訓。

 日系人が多い時の出店では、「お土産」の5個入り。

 日系人が少ない時の出店では、1個売りを。

 このように、区別しながら、展開していきたい。

      夢に見た リベルダージの 出店は

         人陰まばらな リベルダージ村なり

お客が少なすぎ、暇な売り子さんたち。

真ん中の白い帽子が私です。

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