風よ伝えて(爺さんのブラジル移住)第240段
40日間、日本滞在(その48)
東京(その2)
日本での最後の日となった。
ホテルで、朝食。
バイキング形式であった。
パンとコーヒーが大変美味しかった。
東京ということか、多くの外国人がテーブルに付いていた。
私も、宿帳に和洋折衷で書いたので、半分は外国人であろう。
のんびりと、食事をとり、10時にチェックアウトした。
今日は、日本での最後の日。
東京見物をしたいが、何処に何があるか、全く知らない。
「はとバス」に乗ることにしていた。
浅草で地下鉄に乗り、東京まで。
駅員に教えてもらったとおりに、銀座で乗り継いで、東京に着いた。
案内表示が判り易く、迷子になることはなかった。
東京駅では、「はとバス」の乗り場を通行人に3度聞き、やっとのことでバス停にたどり着くことができた。
11時。
どんなコースがあるか、聞いていたら、丁度11時に出発する半日コースがあった。
切符を買い、大急ぎで、バスの乗車口まで行った。
バスガイドは、私と伯の姿を見て、待っていてくれたのだった。
バスの真ん中あたりに座った。
客は20人ほどで、私と同じくらいの歳格好の人ばかりであった。
発車し、バスガイドが色々説明しはじめた。
出発して、間もなく、「皇居、二重橋」に着いた。
「二重橋」が、東京駅から、こんなに近くにあるとは思っていなかった。
爺さん、何も知らない。
多くの観光客が、「二重橋」を背に記念撮影をしていた。
伯が「日本に来てすぐに、皇居の中に入ったことがある。広かった。」と話した。
東京のことを何も知らない爺さんは、この歳になっても、皇居に入ったことなどあろうはずがない。
皇居の中の様子を、伯に教えてもらう側になっていた。
今日は、「二重橋」を見るだけで、皇居の中には入らなかった。
きっと、広い庭園があり、よく手入れされていることであろう。
私が今、作ろうと頑張っている庭に比べると、月とスッポンであろう。
でも、頑張って楽しめる庭にしたいと思う。
皇居を後にし、造幣局を右手に見ながら、今までいた浅草に戻ってしまった。
昨日見て回ったが、もう1度、本殿にお参りした。
賑やかな「仲見世通」を歩いた。
昼食を各自で摂ることになっていた。
伯が味噌カツを食べたいと言ったので、2人で味噌カツとかいてある看板や、店先のメニューを見て回った。
味噌カツが無かった。
かつ丼にした。
かつ丼を食べながら、この旅行では、ブラジルでは食べられない、和食など、沢山の食べ物を食べたことを、伯と話した。
ブラジルに戻ったら、ブラジルの食べ物とブラジルの味になる。
ブラジルの食べ物は、それなりに美味しいと思うが、やはり、日本の食べ物は、味といい、形といい、素晴らしい。
そんな、和食をパクパクと、よくもそれだけ食べられるというほど、よく食べた。
爺さんのお腹廻りの変化。
ブラジルに戻ったら、さっそく体重計に乗ってみよう。
ベルトの穴の位置が、変わっていた。
かつ丼を食べ終わり、また、通りを散策した。
・・・・・・・・・・・?
眼の前に「味噌カツ」という看板に出くわした。
浅草を離れ、再び、皇居前を通った。
「桜田門」「警視庁」「国会議事堂」と、これらが東京駅からこんなに、近い処に集まっていたとは、爺さん、ビックリ・・・。
なにせ、中学校の修学旅行で行っただけであったから・・・。
そして、「東京タワー」に着いた。
またも覚悟であった。
満員のエレベーターで展望台へ。
いいや、何も怖がることはない。
地震がきてタワーが倒壊する訳でなし。
怖がることはない・・・。
自分にそう、言い聞かせた。
展望台に着いた。
何も、ないぞよ!
展望台をぐるりと一周。
恐る恐る窓側に立った。
足がすくんだ。
だが、伯に知られてはいまい。
胸を張り、堂々としておれ。
顔の引きつりをなおせ!
遠く、東京湾が見えた。
伯は、展望台の床に作られていた、ガラス張りの床の上に立った。
ガラスであり、タワーの下の様子が見えているのであろう。
伯は、私にもそのガラス張りの床の上に立つようにいった。
出来る訳ないじゃん。
意地悪な・・・。
半日の東京見物は、これでエンド。
都会に来ると、高い展望台など、足がすくむ処が多い。
私には、田舎の山の頂上から、遠くに流れる、川や森を見ている方が心を休ませる。
バスの中。
通路を挟んだ、隣の席のお婆ちゃん。
私と顔が合い、「どこから?」と聞かれた。
「ブラジルから来ました。」
「えっ、日本語がうまい。」とか、話を始めた。
「何時、帰るんか?」
「今日です。」
「これ、飛行機の中で食べて。」
「カッパえびせん」を手渡ししてくれた。
「ありがとう。」
もう、4時少し前になっていた。
東京の何処に何があるか、わかった気がした。
こんなの、ほんの「蚤の・・・」ではあるが、嬉しさを感じた。
「成田エクスプレス」の切符を買った。
はとバスの 隣の婆ちゃん 優しくて
我がフライトの お伴下さる
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