風よ伝えて(爺さんのブラジル移住)第223段

40日間、日本滞在(その31)

 郡上八幡(その1)


 郡上八幡は、いうまでもなく奥美濃の小京都である。

 私は、盆踊りには興味がない。

 踊りが下手であるから・・・。

 徹夜で踊り明かす盆踊りが終わり、郡上八幡の夜は、静かであった。

 「あの頃」は、高速道で豊田市を抜け、郡上八幡まで行った。

 今回は、車でなく鉄道を使って旅をしてみた。

 それは、1度「長良川鉄道」に乗ってみたいと思っていたからであった。

 第3セクターが経営し、1両編成のワンマン電車で、まさにローカル線である。

 美濃大田から郡上八幡までは、50キロ足らずの距離である。

 その距離を1時間半かけて、ゆっくりと走る。

 美濃大田を出発し、美濃市内を離れて、湯の洞温泉口を過ぎた頃から、長良川沿いに鉄道は、敷かれている。

 長良川は、川の流れの中に大きな岩が清流を砕き、水しぶきが飛び、清らな水が悠々と流れていた。

 その中を、川下りをするゴムボート。

 車窓からは、子供たちの真剣な表情が見て取れた。

 馴れているようで、櫂をうまくさばいていた。

 遠くには、腰まで水に浸かり、アユ釣りをする人。

 岸辺では、キャンプのテントが見えた。

 

 私は、車窓に腕を乗せ、ずーっと外の景色を見ていた。

 電車の中の子供がするように・・・。

 伯も同じように、外を見ては、しきりにカメラのシャッターを切っていた。

 神島の砂浜では、その砂浜の大きさをみて「ブラジルには、遠くまで続いている砂浜がある。」といっていた。

 けれども今度は、こんなに美しい、山間の清流がブラジルにあるとはいわなかった。

 でも、ブラジルには、「イグアスの滝」という世界遺産がある。(ブラジル側はその滝の20%くらいである)

 ゆっくりと走る電車。

 爽やかな「秋の風」が、私の頬を撫でていった。

 紅葉は、まだまだ先のようであるが、美濃はもう、秋になっている。

 曼珠紗華の咲き終わった姿が見えた。

        曼珠沙華 咲き終わりては 秋の風

              車窓の我を そっと撫でゆく

長良川鉄道。

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