風よ伝えて(爺さんのブラジル移住)第222段
40日間、日本滞在(その30)
藤の樹
藤の樹に会いに行った。
刈谷市日高町にある「日高公園」である。
「日高公園」の北側の遊園地に面した場所には、藤棚に12本の藤の樹が蔓を伸ばしている。
「あの頃」、藤の花が咲く頃に、コンビニのおにぎりなどを買って、藤棚の下に置かれたベンチで、それを食べながら、想い出に浸ったことが幾度もあった。
この藤の樹は、以前、私が刈谷市に住んでいて、まだ私の子供達が小さかった頃に、家の庭に砂場を作り、その場所に藤棚を立て、4本の柱に藤を1本ずつ植えた、その樹である。
子供の従兄弟や近所の小さな友達が遊びに来て、その藤棚の下の砂場に置かれたブランコで遊んでいた。
子供たちは、「わんぱく坊主」や「やんちゃ娘」に変身していき、もう、砂場では遊ばなくなった。
庭を改造しようと思い、藤棚を撤去することにした。
丁度その頃、市役所にお願いすると、引き取ってもらえるとの情報を得て、市役所に撤去をお願いした。
その内の2本が「日高公園」に移植されている。
もう2本は、私が住んでいた家の近くの「西中根公園」に藤棚ごと移植されている。
「西中根公園」は、四年生になった息子とよく「キャチボール」をした想い出の場所である。
この4本の藤の樹は、移植されてから30年余りになり、立派な樹に成長している。
藤の他に、息子の大学入学記念に「柿の樹」、娘の留学記念に「桜の樹」を植えた。
垣根には30本の「金木犀」を植えたが、今はもう、なくなり、庭の樹で残っているのは、この4本の藤の樹だけである。
藤の下のベンチに座ると、子供たちが「キャア、キャア」言いながら、仲良くそして、楽しく遊んでいた姿を思い出す。
きっと、私と同じ老人がベンチに座り、藤棚の前のある遊園地で遊ぶ子供たちを、ゆったりと見つめているに違いない。
藤の樹よ、老人の「憩いの場」になり、老人をゆっくりと休ませて欲しい。
いつまでも・・・。
いつまでも 包んでおくれ 藤の花
ベンチに休む 老人たちを
藤棚の下で・・・・。
刈谷市日高公園。
0コメント