風よ伝えて(爺さんのブラジル移住)第215段

40日間、日本滞在(その23)

 神島(その1)


 三島由紀夫の「潮騒」の舞台となった「神島」である。

 高校3年生の時に「潮騒」を読んだことがある。

 映画が封切られたが、見てはいない。

 一緒に見に行ってくれる人がいなかったのが、理由であった。

 さみしいものさ・・・。

 「潮騒」に登場する「新治と初江のロマンス」が、爽やかで、こんなロマンスを、私も味わってみたいものだと思っていた。

 新治は、漁師でたくましく、私のようなちんちくりんではない。

 だから、こんなロマンスが生まれるのだ。

 でも、新治は、学業の方はまるっきりダメで、新制中学卒業の時は、落第しそうで、神島の灯台長の口添えでやっと卒業できたのでであった。

 そのあたりは、高校の卒業試験の英語で赤点を取って、やさしい寿々代先生に助けられた私とよく似ているではないか・・・。

 「潮騒」の中の「監的哨跡」の2人のやり取りは、この小説のクライマックスとなっていて、印象深い。

 エロチックな中に、青臭く、熟しきれていない2人の行動・・・。

 知多半島に遊びに行く。

 蒲郡に遊びに行く。

 伊良湖岬に遊びに行く。

 そのどちらからも、沖の伊良湖水道に小さく「神島」が見える。

 「神島」を見ると、2つの山があるだけの小さな島に見える。

 これは、大きいほうの山が新治で、小さいほうの山が初江である。

2人が寄り添い、仲良くおしゃべりをしているように、私には見える。

 私は「神島」を見ながら、あのロマンスの島に行ってみたいと思っていた。

 しかし、昔は交通の便や定期船が少なく、日帰りでは、ゆっくり島を見ることが出来なかった。

 1泊しなくてはならなかった。

 だから、マドンナとは、「篠島」の砂浜を歩いたのだった。

 懐かしい、想い出になっている。

 

 今回、幾度か行こうと思っていた「神島」に行くことにした。


      男(おのこ)なら 裸になって 勇みたち

            この火を飛び越え 抱きしめにこい

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