風よ伝えて(爺さんのブラジル移住)第208段

40間、日本滞在(その16)

 古希の旅行(その3)

 ハルニレテラス

 ホテルに行く前に、ハルニレテラスに寄った。

 夕暮れ時で、薄い長袖のジャンパーをはおってバスを降りた。

 バスからハルニレテラスまでは200メートルほどの距離であった。

 木立の中の細道を歩くと、左手には小川が、心地よい「せせらぎ」の楽譜を作りながら流れていた。

 ハルニレテラスに到着し、すこし店を見て廻った。

 美味しそうなコーヒー店があったので、コーヒーを頼んだ。

カフェオレが早くできるということで、カフェオレを注文した。

 注文したカフェオレが来た。

 カップの中をみると、コーヒーの表面にクリームでハートの形が描かれていて、そんなカフェオレを見るのは初めてであった。

 美味しそう・・・。

 あたりを見渡すと、御夫婦連れ、若いカップルがわんさと・・・。

 飲むのが何だか、照れくさかった。

 それでも、木立に囲まれ、少し暮れはじめた空が見え、ロマンチックな雰囲気を味わうことができた。

 私の座ったテーブルには、同年の男友達が1人、そして、女友達が2人。

 歳など、どちらでもよいではないか・・・。

 ロマンチックなひととき。

 

 カフェオレを飲み終え、1人で小川の見える場所に座った。

 小川は、夕暮れの中でも、透きとおった姿をみせ、流れていた。

 定年退職し、田舎暮らしにあこがれ、インターネットで調べ、あちこちと現地を見に行った。

 田舎暮らしの大きな条件の1つが「綺麗な水」がテーマであった。

今、目の前にある、清く流れる小川なら、最高・・・。

 そして、野菜を作り・・・。

 でも、誰もいない。

 ただ、1人で・・・。

 寂しいかも知れない・・・。

 今、ブラジルに来たこと。

 清流を見ることはない。

 でも・・・・・・・。

 幸せである。

 せせらぎが、そして、吹く風が、私に「幸せになれ」と、言ってくれているようであった。

 

 

      せせらぎと 風と夕暮れ 我包み

            旅のひととき 想い出めぐる

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