風よ伝えて(爺さんのブラジル移住)第188段

あと10日余り

 日本行きが、あと10日余りとなった。

 伯と2人で、日本行きの荷物を揃え始めている。

 日本からブラジルに来る時の荷物は、「もったいない。」ということで、日本で使っていた物の殆どを、ブラジルに持ってきた。

 今度は、日本に行き、やらなくてはならないこと、やりたいことを念頭に置いて、日本行きの荷物を揃えている。

 要らない物は、持って行かないが基本である。

 なるべく、コンパクトに収めたい。

 しかし、あれやこれや、なかなかの量になっている。

 忘れ物のないように、注意しながら・・・。

 忘れものなどしたら、ブラジルまで取りに行くには、じいさんの短い足では、到底無理な話だ。

 

 日本に帰るという気がしない。

 日本へ行くという感じである。

 そしてまた、ブラジルに帰る・・・という感じである。

 新緑の葉を付け、緑の実を付け出した桑の樹、そして咲き誇るマナカ。

 しばしの別れだ、すぐに帰ってくるから・・・。

 そんな風に思えるのは、ブラジルに来て、1年4ヶ月しか経っていないのに、昔からブラジルにいるような気がするから・・・。

 友達に再会できる。

 お世話になった方たちとも再会できる。

 懐かしさが込み上げてくるばかりだ。

 まだ、「蝉しぐれ」は聞くことができるだろうか・・・。

 野辺に咲いていた「野菊」・・・。

 もう1度、見ることができそうだ。

 あれこれと、脳裏を巡る。

       友の顔 野辺の風景 入り乱れ

              懐かしきは 美しの国

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