風よ伝えて(爺さんのブラジル移住)第135段

 やっと降った。

 雨がこんなに恋しいことは、この歳になって初めてのことであった。

 半月余り降らなかった、雨である。

 「夕立もどき」ではない。

 14日の夕方、遠くで雷が鳴り始めた。 

 「来たな・・・。」と思った。

 「夕立もどき」は、風が吹き始めるのであるが、今日は、風は強くはならなかった。

 ポツリ、ポツリと降り始めた。

 優しい雨であった。

 暑さのために、ベランダに出ないで部屋の中で、グッタリしていた猫達が、ベランダにでたりして、動きはじめた。

 昼間の35℃を超す気温は、この雨で下がり、日が沈む頃には、全く暑さを感じさせなくなった。

 

 一夜明け、雨は止んでいた。

 草取りである。

 雨が降らずに、かたく乾いていた地面が、鎌を入れると、ベトベトせずに、丁度よい硬さで、土を掘ることが出来た。

 成長した夏草を、掘り返し、気持よく草取りは捗った。

 そして、午後。

 再度、静かな雨であった。

 伯は、「まだ、暑い日があるが、今迄のような暑さは終わった。」と話してくれた。 

 2階のベランダから庭を見降ろすと、乾いていた赤土が、雨を含み濃い赤褐色に変わっていくのが嬉しく感じた。

 また、明日から頑張ろう。

 ところが、気を付けなくてはいけない。

 雨は、急激に気温を下げている。

 35℃ほどあった気温は、雨のために、10℃あまり下がってしまっていた。

 肌寒い。

 私は、ためらわずに、ティーシャツの上に長袖のシャツを1枚着た。

 風邪をひかないように・・・。

 暑くなれば、脱げばよい。

 気温の変わり具合は、とてつもない。

 ブラジルは南国、夏の暑さはそれこそ南国。

けれども、一旦おてんとうさんがお休みになり、雨が降ると、肌寒い。

暑いだけではない。

久しぶりの雨。

久しぶりの雨は、突然、「秋」が近づいていることを知らせているようだ。

      天空に 灰色雲が 広がりぬ

             夏から秋に 移らんとする

  

 

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